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肩脱臼手術の流れ(関節鏡下肩関節唇形成術)と経過

最終更新日:2020/10/07 カテゴリー:肩脱臼手術
脱臼手術後

私が脱臼癖の手術を受けた時の流れや経過をご紹介します。
脱臼癖の正式な傷病名としては「右反復性肩関節脱臼」、手術の正式名称は「関節鏡下肩関節唇形成術」です。
同じ手術を行う予定の方へ、少しでも参考になれば幸いです。
手術を受けるまでの経緯を順番に読む場合、こちらの肩の脱臼癖(反復性脱臼)を治す方法からご覧ください。

手術前日(入院初日)

午前中に入院手続きを済ませると、あとはすることはなし。
夕食を普通に食べたら、翌日の朝6時までにOS-1を1リットル飲みきる必要がある。
OS-1以外は手術まで絶飲食。
OS-1を一晩で1リットル飲みきるのは、時間的にも量的にもかなり辛い作業。
ほとんど寝ることはできないので、この日は昼寝をしておくことが大事。

・OS-1を飲む理由
全身麻酔によって嘔吐してしまうと、誤嚥性肺炎などを引き起こすリスクがあるため、胃の内容物を空にしておく必要がある。
ただ何も口にしないと脱水などの危険があるので、水分補給、電解質補給にOS-1を使用する。
OS-1は吸収が早く胃にたまる時間が短いので、水分補給、電解質補給に最適で点滴の代わりとなる。

手術当日

洋服をすべて脱ぎ、手術着に着替え、T字帯と呼ばれるふんどしを装着。
病室から歩いて手術室へ。
手術前に行う処置は一切ない。

・手術開始
自分でベッドに寝ると、心電図や点滴、酸素飽和度などの測定機器が取り付けられていく。
緊張を解くための点滴がされているのか、意識がフワフワして気持ちよくなってくる。

術後の痛みを軽減するためのブロック注射の準備。
まずは首元に局所麻酔を打つ。
その後、超音波エコーや電気を流しながら神経がある場所を確認しつつ、ブロック注射を打つ。
ここまで一つも痛みはなし。

・全身麻酔から手術開始
酸素マスクをつけて全身麻酔が投与され始める。
数秒で意識はなくなり真っ白に。
目が覚めると看護師さんに名前を呼ばれていて、手術が終わっていることを理解する。
時間的には2時間程度が経過。
うとうとしながらベッドのまま病室に戻される。
痛みはなし。

・全身麻酔から意識が戻り始める
意識がもうろうとするなか、看護師さんと会話をする。
体が寒いか?痛いところはないか?しびれなどはないか?など質問を受ける。
手術をした側の背中に痛みを感じたので、体を起こしたいと要望。
先生に確認後、ベッドのリクライニングを上げて体を起こしてもらうと肩の痛みは楽になった。

意識が8割ほど覚醒し、周りを見渡すと首元に痛み止めのアナペインが投与されていることがわかる。
ボトル(薬)が首からかけられていて、チューブが首元に繋がっている。

左手にはビタミンや電解質の補給の為、点滴の管がささっている。
それぞれ痛みはないが多少違和感がある。

手術した側の腕は三角巾で釣られ、肩が動かないようにバストバンドで固定してある。
三角巾とバストバンドで肩を固定
肩は当然動かすと痛いが、じっとしている限りは痛みはない。

また体を起こしたり寝たりという動作は痛みを伴い、色々な管も繋がっているのですべての動きがスローに。
尿管カテーテルはついておらず、トイレはナースコールで可能
一旦様々なコードを抜いてもらって、点滴スタンドと一緒に歩行し、トイレは一人ですることができる。

飲み物は飲んでOK。
食事は夕食から。
夜からはスタンドを持って単独行動も可能。

点滴や痛み止めの管、上半身を起こしていることなど、全てがいつもとは違う状態なので寝つくことはほぼ不可能。
しかし体はだるいので、ただ目を閉じて休み、トイレに行き、また目を閉じる。
それの繰り返しで朝を待つ。
精神的な辛さと言う意味ではピークに近くなる。

手術翌日

午前中に最後の抗生剤(セファリゾンNa)の点滴を受けたら、午前中には点滴針が外される。
これだけでもだいぶ自由度が高まり、ラウンジに行ったり、病棟を歩いたり、行動がとれるようになる。
片手が使えるようになるので、この段階でT字帯からパンツに履き替えてしまう。
(そうしないと、ブランブランさせたまま歩くことになるので(笑))

夕方には体を拭いてもらい、着替えをしてパジャマ姿に戻る。
その後主治医の処置のもと、首元に刺さるアナペインを外し、術中に貼ったガーゼなどを外し、傷口を簡易的なテープに切り替える。
肩の痛みは動くときだけで、安静にしてると無痛に近い状態。
入院期間中で唯一寝れる夜。
※大部屋なら要耳栓(入院時に用意するもの参照)

退院日(入院から4日目)

痛みはかなり軽減され、単独で着替えることもできる。
ただし腕を上げたり、脇を開いたり、腕を外側に開くことは絶対に禁止。
(そもそも痛すぎてそんなことはできない)

服を脱ぐときは、はじめに手術した方とは反対の腕から抜き、次に首、そして手術を受けた手から服を抜きとる。
そうすると肩を動かさずに服を脱ぐことができる。

肩手が使えない時の洋服の着方

反対に服を着るときは、この逆。
手術を受けた方の腕から服を通し、次に頭、そして反対の腕を出す。

朝食を終え退院のための荷造りを済ませたら、痛み止めと抗生剤の処方を受け、受付にて精算をして退院。
痛み止めと抗生剤
抗生剤は退院当日から3日分で飲みきり、痛み止めは痛い時だけ飲んで対応する。

帰路については、片手が使えない状態で荷物を持ち、一人で歩くのはかなり難しいので、必ず家族の付き添いや、車で迎えに来てもらうなどの必要性がある。
ここは事前に話し合って決めておこう。

公共機関を使って帰る場合、駅など人が多い場所を通る際は、人と肩がぶつからないよう細心の注意を配る。

家にたどり着いたら、好きなもの食べて、思いっきりシャワーを浴びると「家に帰ってきたんだ」という実感を得ることができる。
たった4日ではあるが外に出れない(自由に動いてはいけない)というストレスは想像するより重たく、家に帰れた瞬間は健康の大切さを身にしみて感じる一瞬。

退院翌日

体を起こしたり寝たりという動作に、ほとんど痛みは感じなくなる。
手術した肩を上にして、横向き寝も可能。
気が緩みはじめる時期でもあり、誤って肩に力を入れてしまうと痛みが走ることも。

手術日から1週間後(退院から4日目)

肩の動きは、前後左右10cm~20cmほど稼働するようになるが、もちろん固定は継続。
無理な姿勢さえとらなければ痛みはなし。
日中は三角巾だけ、就寝時は腕を動かさないように固定具をする。

固定具を完全に外してよくなるのは、手術から3週間後。
そのあたりで術後検診の外来予約を入れることが多い。

関節鏡下肩関節唇形成術や入院に関する費用は肩の脱臼手術 気になる手術費用は?の記事でご紹介します。

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