ボロボロの椅子も元通り!椅子カバーの作り方
椅子を長年使用していると、座面のカバーが破けたり合成皮革がボロボロになったりして、どうしても劣化してしまうもの。
椅子そのものの機能としては問題がなくても、よく体に触れる部分だったり、椅子を引くときに手で持つ部分というのは、どうしても劣化しやすくボロボロになってしまいます。
ただ、カバーが破けたからといって椅子を単体で購入してしまうと、残っている他の椅子とデザインがマッチしなくなってしまいますし、かといってリビングセットとしてテーブルと椅子4脚を購入するとなったら10万円以上のお金が必要となります。
そこで今回は、自分で椅子カバーを作り、椅子カバーを交換するところまでDIYでやってみたいと思います。
椅子カバーの作り方
まずは、我が家のボロボロになった椅子をご覧いただきましょう。
こちらです。
座面部分の合成皮革が見事にボロボロですね。
実際は背もたれの合成皮革もボロボロになっていて、もし家に来たお客さんがこんな椅子を見たら、「この家大丈夫か!?」と疑問に思われてしまうような状態です。
ただ合成皮革の場合は、どんなに丁寧に扱っていても3年~5年でこのようにボロボロになってしまいます。
寿命と言うものですね。
だから合成皮革で作られた椅子は安いんです。
それでは、椅子カバーを新しくするために、カバーの材料から調達していきましょう。
街の裁縫屋さんで売られている「裁縫用の布」や「服を作る生地」でも椅子カバーを作れない事はないと思いますが、これらの生地は椅子専用の生地ではないため、椅子として使用するには耐久性が低すぎるかもしれません。
でも「椅子専用の生地なんてあるの?」と疑問に思う方も多いかと思います。
実はあるんです。
カーテンやカーペットなどを販売する内装メーカー(サンゲツなど)では「椅子生地」という、椅子専用の生地(シート)を販売しています。
この生地を手に入れれば、デパートやカフェなどに使用されている高級なシートから布や合成皮革まで、様々なカラーバリエーションから椅子カバーを作りだすことが可能です。
ですから椅子カバーには、専用の椅子生地を手に入れましょう。
今ではAmazonでも楽天でも、サンゲツから商品を卸して椅子生地を販売しているショップが数多くあるので、カタログを持っていない一般の方でも手に入れやすくなっています。
椅子カバーの型紙の作り方
椅子生地を選んだら、今度は生地を成形する為の型紙を作っていきます。
通常、椅子カバーでも洋服でも「型紙」を作るとなったら高度な知識や技術が必要になると思うのですが、今回は椅子カバーの交換となりますので、今付いているカバーをそのまま使って、型紙に再利用してしまいましょう。
それでは、古い椅子から型紙を取り出す手順です。
まず最初に、下の写真のように糸で縫ってある繋ぎ目を糸切りばさみを使って丁寧に切っていきます。
1箇所糸を切れば、ダーッと続けて外れていきます。
全体の糸を外していくと、生地の最後の部分が椅子の裏面にホチキスで固定されていることがわかります。
椅子の裏側の写真です。
ホチキスの後ろでもいいですし、カッターの先端でも良いので、固定されているホチキスを外していきます。
刺さったまま残ったホチキスは、ペンチなどを使って抜き取りましょう。
古い椅子カバーの縫い糸とホチキスが外れると、このようにパーツごとの型紙を取ることができました。
形が似たような型紙には「前」「左横」などと、場所を明記しておくと良いでしょう。
そして丸裸になった椅子がこちら。
クッション部分のスポンジがむき出しになるのはこの時だけですので、汚れていたりスポンジがヘタってしまっていたら、スポンジごと交換してしまったり、重ねて補強したりして、座り心地を改善させても良いと思います。
椅子カバーの裁断と縫製作業
次はこの型紙を使って、生地から椅子カバーのパーツを切りだします。
まずは生地の上に型紙を並べ、鉛筆で縁をなぞりラインを書き出していきます。
そして、書いたラインに沿って生地を切り落とします。
この時、普通の紙を切るようなはさみを使ってしまうと、生地の切り口がボロボロになってしまうので、ちゃんとした「裁ちばさみ」でカットするようにしてください。
裁ちばさみはほとんど一生ものです。良い物を選びましょう。
こちらが裁ちばさみで切り取った、椅子カバーのパーツ。
細かいラインも正確に切れます。
続いて縫製作業となります。
難しいと思われる方やミシンが苦手という方も多いと思いますが、意外とやってみると難しい作業ではありません。
というのもやる事はたった1つ。
それぞれのパーツを繋ぎ合わせるだけですから、普通にミシンを使えれば問題はなく、難しい技術は必要ありません。
それでは縫製作業です。
パーツとパーツの繋ぎ合せる場所を、表面と表面を重ねた状態にします。(裏面が見えている状態になる)
そして繋げる(縫う)場所は常に端から1cmのところを縫っていくようにしましょう。
生地同士がカーブしていても、大きさの違うパーツでも、常に端と端を合わせて1cmのところで縫っていくのです。
そうすると、たるみが必要な箇所も自然とたるみができてきます。
この要領で全てのパーツを繋げていき、最後に裏返しにするとこのようにな形になります。
裏面から縫っているので、ミシンが上手くなくても縫い目が見えることはありません。
それでは実際に椅子カバーを取り付けてみます。
背もたれの部分からカバーを被せて、
背もたれと座面の隙間も、しっかりとカバーを滑り込ませ、
カバーを被せると、このような形になりました。
かなり椅子っぽくなってきました。
最後に、生地を椅子の裏面に固定する作業です。
まず、椅子の足に当たる部分に切り込みを入れます。
こんな感じに、真っすぐ畳めるようになればOKです。
そしてここを最初の状態のようにホチキスで留めていくのですが、文房具用のホチキスでは椅子の骨組みに固定することはできません。
ここで必要なのは、木に打ち込むことができる「タッカー」というホチキスです。
私が使用したのはこちら。
プロ用ではなく家庭用のタッカーとなりますが、椅子に生地を打ちこむのであればこれくらいで問題ありません。
一緒に針も入っているのでお買い得でした。
このタッカーを使って、生地を裏面に固定していきます。
やや生地を引っ張りながら、等間隔に打ち込んでいきましょう。
この作業を繰り返し、4辺すべての生地を椅子に固定していきます。
足の部分で余った生地は、切り落とすのではなく中に折り込む(入れ込む)ようにして処理すると綺麗に仕上がります。
これで生地は固定されましたが、このままでは生地の端っこがむき出しの状態となってしまい不格好ですので、最初に外した黒い生地を上から留めていきます。
こうすれば生地がほつれることもありませんね。
ではご覧いただきましょう、こちらが自作の椅子カバーで生まれ変わった椅子です。
どうですか?新品の椅子のように見えませんか?
もちろんよーく見れば真っすぐ縫えていないところもあるにはありますが、素人でもこれくらいのクオリティが出せるわけですから、とって付けたような既製品の椅子カバーを買うより、自分で作る専用の椅子カバーの方がフィット感が段違いで、まるでこのまま販売されていたかのように見えます!
このような綺麗な仕上がりになるのは、ご紹介しました「専用の椅子生地」を使ったことと、古い椅子カバーを型紙に利用したこと、この2つがポイントとなっているのです。
ここまでご紹介してきました椅子カバーの作り方。
トータルで制作にかかった作業時間は、約2時間。
結構時間がかかりますが、椅子が1脚生まれ変わると思ったら大した時間でもない気がします。
そして1脚あたりのコストも2,000円~3,000円とお財布にも優しく、椅子も新品のようになってコストパフォーマンスが高いです。
「椅子がボロボロで椅子カバーを変えたい」と思ってる方には、ぜひお勧めしたいDIYです!
ご夫婦でしたら、力仕事は男性が、裁縫作業は奥様が、と分担して作業をすれば、作業効率も上がり意外と楽しい作業になるかもしれませんよ!
ぜひ参考にしてみてください!